コラム
令和3年に、高齢者介護サービス事業者を対象として、利用者の人権擁護と虐待防止の観点から、虐待の発生・再発防止のための委員会開催や指針(マニュアル)整備、研修実施、担当者の設置を義務付けられました。令和5年度末で3年間の経過措置期間が終了しますので、すでに体制整備が完了している事業所もあるでしょう。このなかで私は「発生の予防」に対する指針(マニュアル)整備が重要だと思っています。
「発生の予防」では虐待が起きる環境や場面を理解することが必要です。例えば「急におびえたり、恐ろしがったりする」「不規則な睡眠を訴える」「体重が不自然に増えたり減ったりする」など、一見すると虐待とは関係ない出来事もあります。ほかの情報と突き合わせることで虐待がないことをしっかり確認できますので、わずかなサインも見逃さないことが求められます。
ケアを行う専門職は「あだ名や○○ちゃん呼び、呼び捨て」「ちょっと待って」という言葉を安易に使うこともあります。しかし、介護計画に基づかないコミュニケーションであれば、ケアを受ける本人やその家族はその言葉で虐待を受けたと感じる可能性があります。同僚や関係機関と利用者について相談ができないと感じているのであれば、「発生予防」を講じることができません。そのため自らの行動や環境をチェックする必要があるのです。
虐待の「発生の予防」は、良いケアを継続していることを「可視化」することです。そのためには定期的に指針(マニュアル)を見直し、チェックリストによる確認を実施すること。そして、その過程や結果を記録に残し、関係者のみならず広く市民に伝えることが大切です。
【執筆者】
原田欣宏(高崎健康福祉大学健康福祉学部社会福祉学科 准教授)
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