コラム
近年は「人生100年時代」と言われ、日本は長寿国とされていますが、重要なのは要介護ではない「健康寿命」の延伸です。そしてわが国では、健康寿命延伸のために「食生活指針」(図)が策定されています。ひとつひとつの項目に意味と目的が込められていますが、①~⑦は具体的な食事内容や生活習慣の目標、⑧~⑩は食の循環や環境への配慮について述べられています。
今回は、その中の②の項目に注目してみましょう。ここでは「1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを」とありますが、その実践のために「朝食で、いきいきとした1日を始めましょう。夜食や間食は取り過ぎないように。飲酒はほどほどに。」と具体的な行動目標を示しています。ここで言う「1日の食事」は特に1日の始まりの朝食を指します。
朝食を欠食する人では、夕食時間も不規則になりがちで夕食後の夜食や間食も多く、1日全体の生活リズムが乱れる傾向があります。朝食を欠食すると、朝食を食べた場合と比較して昼食を食べた後の血糖値が高くなり、高血糖状態は糖尿病のリスクにつながります。また、朝食の欠食は肥満や高血圧などのリスクを高めるとともに、1週間あたりの朝食摂食回数が少ないと脳出血のリスクが高くなるといった報告も見られています。
そして、夜食や間食が増えると、3食の食事との区別がつきにくくなり食事そのものがおろそかになりがちです。さらに、過度の飲酒は、睡眠の質が落ち熟睡が得られないために起床時に起きづらく生活リズムが乱れやすくなります。
1日の始まりの朝食を欠食することはとても体に悪く、生活リズムの乱れの悪循環に陥りやすく、要介護につながるような疾患の発症リスクも高くなります。まずは、朝食をしっかり摂って活力ある1日のスタートをきりましょう。健康的な生活習慣を実践するためには、規則正しい食事から生活リズムを作っていくことがとても大切です。
参考文献「食生活指針の解説」平成28年6月改訂:一般社団法人全国栄養士養成施設協会(2017)
執筆者 竹内真理(高崎健康福祉大学健康福祉学部健康栄養学科 准教授 管理栄養士)
連載(3か月に1回) 「介護予防のぴんころ飯」上毛新聞TAKATAI
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