コラム
人間関係やコミュニケーションがうまくとれない、整理整頓やスケジュール管理がうまくできない、失くし物が多いなどで、精神的にめいってしまったり、生きづらさをすごく感じる方がおります。このような悩みをもった方の中には、「発達障害」という周囲の人には理解しにくい障害がある場合があります。
「発達障害」とは、先天性の脳機能の違いによって頭の中の処理や感じ方が特有で、その特有さと、ご本人が生活している環境や人間関係などにミスマッチが起きている状態をいいます。中には、ミスマッチを自分の努力不足のせいにして精神疾患を抱えるまでにこじらせてしまう方もいます。一方、ミスマッチについて独特な捉え方をしてしまい、周囲の方が困っている場合もあります。
「発達障害」はご本人の特有さと環境とのミスマッチによるものですので、ご本人の頭の中の処理や感じ方にできる限りマッチさせるように環境を整えることで、ご本人の生きづらさが軽減されることがあります。たとえば、服の整理整頓ができない場合、タンスのどこに何を入れてよいか瞬時に判断することが苦手であることが考えられます。その場合、タンスの各引き出しに、入れる服の写真を貼っておいたり、引き出しの中を区切ると、整理整頓しやすくなります。
このように生きづらさを軽減するためには、周囲の方のサポートが必要となります。専門的な助言を受けると、生きづらさにより改善がみられます。ご本人でも周囲の方でも、悩まれている方は、地域にある相談機関(たとえば「発達障害者支援センター」)に連絡してみてください。相談内容に応じて対応してくださります。ご本人も周りの人も1人で悩まないこと!これが大切です。
【執筆者】
五十嵐一徳 准教授(高崎健康福祉大学 人間発達学部 子ども教育学科)
著書 発達障害のある子の「行動問題」解決ケーススタディ―やさしく学べる応用行動分析 など
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