コラム
新型コロナ感染症の蔓延で社会活動が制限され、家の中に居る機会が増えている方が多いと思います。外出が減って、身体を動かすのが減っていませんか?
手足や背骨等、体を動かす器官を運動器といい、主に骨と関節、これを動かす筋肉でできています。骨と筋肉は運動すると強くなることはよく知られたことですが、運動をしないと、つまり機械的刺激がないと積極的に委縮していく機能が私たち人間にあることも知っておきたいところです。骨では破骨細胞の活性化で骨を溶かし、筋肉ではマイオスタチンというタンパクが生産されて、積極的に痩せていくのです。また、子供の発育期における骨の成長にはビタミンDが必要ですが、このビタミンは皮膚を通して太陽の光を受けないと活性化できないものです。要するに、外で太陽を浴びて体を動かすことがよいこと、ではなく必要なことなのです。
では、どのくらい運動をしたらよいのか?運動の強さは個々の運動で決まっていて「メッツ」という単位で表されます。じっとしている状態が1メッツで、普通の歩行は3倍の強さがあるので3メッツです。厚生労働省から表*が載っていますのでご参照ください。運動量は「エクササイズ」という単位で表され、1メッツの運動を1時間行うと1エクササイズとなります。普通の歩行を30分行うと1.5エクササイズ(3メッツ x 0.5時間)となります。健康には1週間に23エクササイズが勧められています。好きなスポーツをして週に23エクササイズ以上の運動を心がけましょう。
新型コロナ感染症を恐れず外に出て運動しましょう。
執筆者 渡邊秀臣(高崎健康福祉大学 保健医療学部長、群馬県医師会 スポーツ医学担当理事、群馬県スポーツ協会 理事)
脚注*:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/11/s1109-5g.html
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