コラム
ここ数年間よく聞くフレイルは、医療や介護の専門職に限らず、住民の方々に浸透してきたように思います。このことは、行動変容が求められる時期に差し掛かったことを意味しています。
フレイルのアジアガイドライン(Dent E, J Am Med Dir Assoc, 2017)で強く推奨されているものが3つあります。
・適切な検査でフレイルを判別すること。
・フレイルの方に対する筋力トレーニングを含む個々の運動プログラム
・投薬管理(ポリファーマシーの対処)
ご本人が自身のフレイルの状態を知るにあたり、フレイルという烙印を刻むのではなく、生活を見直すことでフレイルの改善が期待できることを同時に知って頂くことが重要です。
握力や歩行速度を測る機会があれば、ぜひ実施してみて、目安と比べてどうなのかを知っていただく。そこから身体や生活の見直しが始まります。目安としてよく用いられているのは、握力は男性で28㎏以上、女性で18㎏以上、歩行速度は1m/秒以上です(これだけでフレイルを判別するものではありません)。後期高齢者の質問票でもフレイルを判別するしくみができつつあります(Hori N, Geriatr Gerontol Int, 2023; Shinohara T, Geriatr Gerontol Int, 2022)。
運動プログラムは個々の状態によって設定できれば理想です。が、実際にはご当地体操など、グループで運動することが現実的かも知れません。ご当地体操には優先的に鍛えたい筋肉の運動が含まれているので、“継続は力なり”に繋がるコンテンツになっています。
ここ数年、我々は公民館などで開催されるサロンなどにお邪魔して、フレイルチェックを含む体力測定を実施しています。後期高齢者の質問票を用いたフレイルチェックや体力測定(無料です)にご興味がありましたらお気軽にご連絡下さい。
【執筆者】
篠原智行(高崎健康福祉大学保健医療学部 教授)
メールアドレスshinohara-t#takasaki-u.ac.jp(#を@にしてお送り下さい)
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