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2023-11-21 話題の認知症治療薬レカネマブ(レケンビ®点滴静注)とは

2023年9月25日に、日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能効果で「レケンビ®(一般名:レカネマブ)」が承認されました。

 これまでの治療薬であるドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンは、主にアセチルコリンという神経伝達物質の減少を防いで認知機能障害の緩和を期待するものでした。また、メマンチンはグルタミン酸という神経伝達物質が誘発する刺激を抑制し、神経細胞を保護する作用を期待している薬剤です。一方のレカネマブは、神経細胞死の原因となる脳内に蓄積するアミロイドベータ(Aβ)タンパク質の除去の促進による神経細胞死の阻止を期待しています。

 レカネマブは治験において、偽薬投与群と比較して18ヶ月後の臨床症状の悪化が27%抑えられるという効果が示されています(https://www.eisai.com/news/2022/news202285.html?_gl=1*lwfogf*_ga*MTI5OTMzOTI3NC4xNzAwNDQzMzk5*_ga_X1FWS6YR87*MTcwMDQ0MzM5OS4xLjEuMTcwMDQ0NjEwOS42MC4wLjA.)。しかし、脳浮腫、脳微少出血という副作用が報告されており、投与後も精度の高いMRI検査によるフォローが必要となります。

 そして、そもそもレカネマブで治療を行う前提として、脳脊髄液検査やアミロイドPET検査でAβ病理の確認が必要とされています。脳脊髄液検査は身体的負担が大きく、アミロイドPET検査は高額で金銭的負担が大きいという課題があります。このように副作用、検査、フォローアップ、高額な医療費など様々な課題はありますが、レカネマブはアルツハイマー病の病態の機序に作用して疾患の進行を抑える疾患修飾薬(疾患の原因となっている物質を標的として作用し、疾患の発症や進行を抑制する薬剤)であり、新しい二次予防法(早期発見、早期治療を行うことで、疾病や障害の重症化を予防すること)として期待されています。

【執筆者】
高崎健康福祉大学 薬学部 地域医療薬学研究室
土井 信幸 准教授

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