コラム
私たちは、人生に数回、心のクライシス(危機的状況)に陥ることがあるのではないでしょうか?それは、大切な人との離別だったり、追い求めていた夢が叶わないと諦めたときだったり、理由はそれぞれです。
メンタルヘルスの不調に陥ると、急に周囲の人がよそよそしくなったり、腫れ物に触るような対応になるイメージがありませんか?そう、私たちは、メンタルヘルスの不調に対して、どう対応すればよいのか教わってこなかったのです。だから、周囲の人や自分自身が、メンタルヘルスの不調に陥った時に、何をすればよいのかわからなかったり、間違った対応をしてしまうことがあるのです。
最近では、学校の授業でメンタルヘルスリテラシー教育が行われるようになりました。小学校は2020年度、中学校は2021年度、高校は2022年度から開始された新学習指導要領で、現代的課題への対応として、心の健康や精神疾患に関する内容の充実が図られました。
では、健全な心をとり戻す(リカバリー)ために必要な4つのポイントお伝えします。
①健康:健康的な選択を行うこと、②家:安全な暮らしの場、③目的:役割・社会参加、
④仲間:希望を与えてくれる人との人間関係です。
これは、米国薬物乱用精神保健管理局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration;SAMHSA)の「リカバリーの定義」によるものです。この4つ要件のうち、1つでも欠けているとリカバリーができません。支援者は、どれが足りてないか?を意識することで、簡易なアセスメントも可能です。
また、重篤なメンタルヘルスの不調に陥った際には、早めに医療にかかることは大切なことですが、その手前の段階であれば、学校や地域でも実践できる支援技法を活用して、ケアすることもできます。「リカバリーを目指す認知行動療法」や、「マインドフルネス瞑想」など、心理学や精神医学をがっつり学んだ専門家ではなくてもできる支援技法がたくさんありますので、皆さんも、ご自身や周囲の方のために、「あなたの仲間たち」と一緒にやってみてはいかがでしょうか?
<文献>
・こころの健康副読本編集委員会:「悩みは、がまんするしかないのかな?」(ver.2)https://psycience.com/
・こころの健康教室サニタ:授業教材(アニメ)https://sanita-mentale.jp/material.html
・国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部 ホームページ:https://www.ncnp.go.jp/nimh/chiiki/about/mhl.html
・SAMHSA’s working definition of recovery: 10 guiding principles of recovery.
・シェリ・ヴァン・ダイク著:ティーンのためのマインドフルネス・ワークブック.家接哲次 監訳 間藤 萌 訳.金剛出版 2018.
・Beck AT, Grant P, Inverso E, et al:Recovery Oriented Cognitive Therapy for Serious Mental Health Conditions. Guilford Press, 2021
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<執筆者>
池田 朋広 教授
高崎健康福祉大学 健康福祉学部 社会福祉学科
<略歴>
1996年 昭和大学附属烏山病院 入職(〜2017年 退職)
2002年 精神保健福祉士 取得(登録番号09620)
2004年 社会福祉士 取得(登録番号48903)
2007年 筑波大学大学院博士課程 人間総合科学研究科 ヒューマン・ケア科学専攻
社会精神保健学分野 入学(〜2010年 単位取得退学 2015年学位取得 学術)
2009年 昭和大学医学部 精神医学講座 特別研究生(〜2017年学位取得 医学)
2017年 高崎健康福祉大学 健康福祉学部 社会福祉学科 准教授(2023年4月〜教授)
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